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教育
東大の学長選考に文科省が検証を要請、どう考える?
公開 · 更新
毎日新聞によると、文部科学省は10月20日、東京大学に次期学長の選考の経緯を検証するよう求める文書を出した。教職員の意向投票で2位だった藤垣裕子教授が選ばれ、学内から説明を求める声が出ていた。文科省が学長選考で大学に検証を求めるのは初めて。東大は、学内外に説明責任を果たしたいとしている。
出典:[1]
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東大の学長選考と文部科学省の検証要請をめぐる考えのうち、どちらに共感しますか。
同じニュースを、2人の記者がそれぞれの立場から報じる。
LEFT 一つの見方
リベラル・左派の記者
説明は東大の責任。だが国が踏み込む前例でよいか
- 大学の自治と学問の自由
- 国の介入の前例
- 構成員の声が届く制度
選考の理由を語らない東大の姿勢は改めるべきだ。しかし、学長の任命権を持つ国が選考の中身の検証を求めた前例は重い。構成員の声が届きにくい制度こそ見直し、大学は自ら説明を尽くして自治を守るべきだ。
説明不足は、まず東大の責任だ
東京大学の次期学長の選考をめぐり、文部科学省は10月20日、経緯の検証を求める文書を出した。1 9月の意向投票の2回目で、1位の染谷隆夫氏は1107票、選ばれた藤垣裕子氏は553票だった。3 教職員の有志523人が説明を求めたが5、選考会議は協議の中身を保秘として明かさなかった。1 有志の呼びかけに感想を寄せた人の7割が「説明になっていない」と答えている。4 学内の納得を得られないまま進めたことは、東大自身が重く受け止めるべきだ。
国が検証を求める重み
それでも、国が学長選考の検証を大学に求めたのは初めてだ。1 文書は、東大の運営方針会議と監事に検証を求め、監事には著しく不当な事実があれば大臣に報告するよう促した。2 運営方針会議は、2024年10月に施行された改正国立大学法人法で、規模の大きな大学に設置が義務づけられた組織である。2 学長の任命権を持つ大臣が、選考の中身にまで目を光らせる。今回は説明不足への対応だとしても、次は国の意に沿わない人選に「検証」が向けられないと、誰が言い切れるだろうか。大臣自身、10月初めには、明白な違法性などがない限り任命は拒めないと述べていた。2 その線引きを、行政の側から崩すべきではない。
なぜ東大だけなのか
国立大学の法人化後、意向投票の結果と異なる学長が選ばれた例は41あるが、検証の要請は今回が初めてだという。9 6月の京大の選考では意向投票3位の候補が選ばれたが、国は問題にしていない。9 国から巨額の研究資金を受けられる国際卓越研究大の認定は、文科相が行う。東大の選考では、資金の獲得に強い意欲を示した候補が選ばれなかった。9 その後の異例の要請が、各大学の目にどう映るか。国の意向をうかがう学長選びや、意向投票そのものをやめる動きが広がらないか心配だ。検証の結果を受けて国が任命をためらうような事態になれば、大学の人事は事実上、国の判断に委ねられることになる。
問題の根は、制度にある
東大の教職員組合は、新潟大や富山大、千葉大、京大の例を挙げ、問題の根は2004年の国立大学法人化にさかのぼると指摘した。5 2020年の国立大学ガバナンスコードには、選考会議が意向投票によらず主体的に学長を決めると明記された。8 構成員の声が選考に届きにくい仕組みを、国と大学が一緒につくってきたのではないか。問うべきは、一つの選考の是非にとどまらない。意向投票の結果をどこまで重んじるのか、大学ごとに明確なルールを定めておくべきだ。
自治は、自ら説明してこそ守れる
大学の自治は、学問の自由を支える土台である。権力から距離を置いて真理を探る場があることは、社会全体の財産だ。学長選びは、大学が何を大切にするかを示す営みでもある。それを守るには、大学自身が開かれた説明を尽くすしかない。選考会議は評価の過程を可能な限り示し、教職員や学生との対話を重ねてほしい。国は、検証を口実に人事へ介入する前例を残さないよう、一歩引いて見守るべきだ。
RIGHT 一つの見方
保守・右派の記者
「保秘」の壁に立てこもる最高学府でよいのか
- 国立大学の説明責任
- 選考の透明性
- 大学の統治改革
国費で支えられる最高学府が、トップを選んだ理由を「保秘」で語らないのは許されない。文科省の検証要請は当然だ。東大は選考の経緯を明らかにし、外の目を入れた統治の改革で国民の信頼を取り戻すべきだ。
説明を拒む姿勢は通らない
東京大学の次期学長に、教職員の意向投票で2位だった藤垣裕子氏が選ばれた。2回目の投票で、1位の染谷隆夫氏の1107票に対し、藤垣氏は553票だった。3 選考会議は、意向投票をどの程度反映したかは委員によって異なるとし、協議の中身は保秘を理由に明かさなかった。1 議長は、意向投票は選考の資料の一つにすぎないとの認識を示している。6 東大は国立大学の頂点に立ち、国費で支えられている組織だ。トップを選んだ理由を、当事者の教職員にさえ説明できないのでは、国民の理解は得られない。政府と国立大学協会の指針は、学長選考の経緯や理由を、できる限り具体的に公表するよう定めている。10選ばれた藤垣氏にとっても、理由が説明されないままでは、学内の信頼を得て改革を進めることは難しい。
文科省の要請は当然だ
文部科学省は10月20日、選考の経緯の検証を求めた。1 関芳弘文科相が、明確な説明がないとの声が多いことを「遺憾だ」と述べたのはもっともである。7 学長は、大学の申し出に基づいて文部科学大臣が任命する。2 任命する立場の国が、選考の筋道を確かめるのは当然の務めだ。 文書は、事実確認が不十分な情報を、本人の確認もせずに考慮するのは不適切だと指摘した。その根拠は、東大自身が過去の選考についてまとめた検証報告書である。2 不確かな情報で判断が左右されたのなら、重大な問題だ。大臣が、経緯の検証と説明を「ガバナンス改革の第一歩」と位置づけたのは正しい。1 大学の自治は、説明責任を免れるための特権ではない。東大は、国から巨額の支援を受けられる国際卓越研究大の認定を目指している。10 説明一つ果たせない組織に、その資格があるだろうか。説明できないのであれば、選考をいったん白紙に戻し、国民が納得できる形でやり直すことも考えるべきだ。
閉じた組織の体質を改めよ
法改正により、東大には運営方針会議が置かれた。2 外の目を入れて大学の運営を立て直すための仕組みであり、今回はこの会議と監事が検証を担う。2 教職員の有志は、評価項目ごとの評価や、各回の投票の票数の開示を求めている。4 東大はこれに正面から応えるべきだ。外部の委員が加わる会議が、本当に機能しているのかどうかも、あわせて点検すべきだ。学内の論理だけで物事を決め、外からの批判を拒む体質こそが、信頼を損なってきた。
改革の試金石に
次期学長の任期は、2027年4月から6年に及ぶ。3 新しい学長が存分に力を発揮するためにも、選考への疑念は今のうちに晴らさなければならない。東大は、世界と競う研究と教育の拠点として、国民に開かれた統治を示すべきだ。日本の大学全体の改革も、東大の姿勢にかかっている。今回の検証が、閉じた組織を変える試金石となることを期待したい。
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SOURCES
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- 文科省、東大に学長選考経緯の検証依頼 「説明責任果たして」 ↗毎日新聞(Yahoo!ニュース) · 確認日 2026-10-30
- 【総長選考2026】文科省が総長選考の検証を要求 東大「説明責任を果たしたい」 ↗東京大学新聞 · 確認日 2026-10-30
- 【速報・総長選考2026】次期総長は藤垣裕子教授 意向投票で第2位 ↗東京大学新聞 · 確認日 2026-10-30
- 【総長選考2026】教職員有志が追加の質問を提出 選出理由とプロセスの詳細な説明求める ↗東京大学新聞 · 確認日 2026-10-30
- 【総長選考2026】教職員組合が声明を発表 「問題の根は国立大学法人化に遡る」 ↗東京大学新聞 · 確認日 2026-10-30
- 【総長選考2026】藤垣裕子教授の次期総長選出で会見 選考会議「意向投票とのズレは大きな問題ではない」 ↗東京大学新聞 · 確認日 2026-10-30
- 学長選考、東大に異例の検証要請 「明確な説明なく遺憾」―文科省 ↗時事通信 · 確認日 2026-10-30
- 【総長選考2026】意向投票の位置付けとは ↗東京大学新聞 · 確認日 2026-10-30
- (社説)異例の検証要請 大学の萎縮招かないか ↗朝日新聞 · 確認日 2026-10-30
- <主張>東京大 象牙の塔に立てこもるな ↗産経新聞 · 確認日 2026-10-30
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